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スイーツ&デストロイ

旅行記と備忘録

クロアチア ザグレブ

アガサ・クリスティも宿泊したというザグレブのホテル「リージェント・エスプラネード」外観

「リージェント・エスプラネード」のロビー

「リージェント・エスプラネード」の客室

巻いた薄切り肉にチーズとハムを挟んで揚げたザグレブ風カツレツ

「リージェント・エスプラネード」の朝食ビッフェ①

「リージェント・エスプラネード」の朝食ビッフェ②

石造りのトンネルの先にあったザグレブ旧市街の民家

聖母被昇天大聖堂の外壁の彫刻

 

イェラチッチ総監の像が建つイェラチッチ広場

カプトルの丘にそびえる聖母被昇天大聖堂

ザグレブ中央駅外の機関車

ザグレブ中央駅のホーム

 ザグレブの第一印象はあまりよくなかった。海も森もない内陸部の首都は、重厚な石造りの建物が多く、しかし、その大半は古びていて、壁のところどころに亀裂が走り、塗装は剥がれ、壁に落書きがめだつ。そしてなにより(これまで訪れた土地と比べてだが)圧倒的に緑がすくなかった。そんなのかんがえてみれば(いや、かんがえるまでもなく、か)あたりまえのことだけれど、薄曇りの天気だということもあって、市街地はなんだか荒れてみえた。今おもいおこすとそれなりに趣のある街なのだが、そのときは陽光が降り注ぐアドリア海とプリトヴィッツェの絶景がまぶたに焼きついていて、落ちついた都市の街並に豊かさをかんじられなかった。確かにそこはウィーンのような華やかさがなく、チェコのように優美ではなく、ベルリンのような大都会でもない。

 また、治安の良さはウォーキングやジョギング、犬の散歩をしている人の数に比例し、悪さは落書きの数に比例する、というのはわたしの偏見だけれど、それに従えばパッと見そこはそう安全な雰囲気じゃなかった。滞在はたったの1日だから、あくまでパッと見で、ほんとうのところはわからないが、明るい地下街を出ると夜は中心地でも物寂しく、都市の喧噪はかんじられない。もっとも、首都だからといって、外灯やネオンが一晩中煌煌とかがやき、昼夜を問わず喧噪がつづく、なんて場所ばかりではないだろう。むしろ東京やベルリンが特殊なのだ。すなわち、とくに豊かではないが、かといって貧しくもない、大都会ではないが、もちろん田舎でもない、それほど危険ではないが、絶対に安全でもない、それがわたしのみたザグレブのおおまかな輪郭となった。

 宿泊したホテルは新市街の中心部にある「リージェント・エスプラネード」トミスラフ広場の向かい、ザグレブ中央駅の横にそびえる、それは白亜の建物で、かのアガサ・クリスティも定宿にしていた、由緒と格式のあるホテルだ。映画化もされたミステリー「オリエント急行の殺人」は、ここで執筆されたという。ザグレブ中央駅はかつてオリエント急行の停車駅で「リージェント・エスプラネード」はその乗客のために建てられた。件の小説にもこのホテルが登場するらしい。わたしは読んでいないので、とくに思い入れはないのだけれど、今回の旅ではいちばん豪華なホテルだったし、外観も内装も寝室も浴室も、さすが上品で落ち着いていて、とても素敵だ。朝食のフルーツやチーズ、オリーブやミートパイ、注文してからつくるホットミール(オムレツ)も美味しい。

 ホテルに荷物を置いて、日中は旧市街を巡り、夜は新市街を散策した。旧市街は共和国広場から北にひろがる丘のうえにあり、カプトルとグラデツという、ふたつの地区からなる。高台に位置するため坂が多く、石畳の細道は縦にも横にも蛇が這うようにくねくねとうねっている。カプトルの中心には聖母被昇天大聖堂がそびえ、そのまえの広場はトラムのターミナルになっていた。ザグレブではいたるところに路面電車のレーンが敷かれている。蛇行する坂道でもそれはおなじで、張り巡らされた軌道敷はやはり波状に曲がりくねっている。そこかしこを縦横無尽に青いトラムが走り抜けていく。何車線もある巨大な国道やそれに並走する高速道路、複雑に入り組んだ高架橋はない。他の町と比較したら多少殺伐としているものの、日本と比べればだいぶ牧歌的な光景だ。

 町の真ん中に建つ石の門は、もともとグラデツの東門で、当初は木製だったが、18世紀の火災で焼け、それから石製になった。その西側に旧市街の象徴である聖マルコ教会がみえる。教会の屋根にはトリコロールカラーのタイルでふたつの紋章が描かれており、色遣いとモザイクの質感がレゴっぽくてかわいい。紋章はクロアチア王国、ダルマチアスラヴォニアを表す三分割ものとザグレブ市のそれだそうだ。モザイクを写真に収めていると、教会での挙式を終えて、花嫁と花婿、それを祝福する参列者たちが舗道へ出てきた。その日はあいにくの曇天だったけれど、春の花が咲き乱れ新緑も色づく基本的に爽やかなこの季節は、とくに結婚式が多いらしい。6月になればその数はさらに増え、教会の南にある市庁舎では30分ごとに新しいカップルがうまれるという。

 灰色の雨雲が立ちこめるなか、辺りを観光していると、まもなくぽつぽつと雫が落ちてきて、やがてそれは土砂降りの雨になった。雨足があまりにもつよいので、聖マルコ教会から数分ほどの、商店街と民家の隙間で雨宿りする。その短いトンネルは、ナイーヴアート美術館のすぐそばにあり、その先はピンクのバラが咲く芥子色のアパートの中庭になっている。この辺は美術館や博物館が集中する地域で、時間があればぜんぶをまわりたいところだったが、半日の滞在ではさすがにむずかしい。わたしはそこを結局ほとんど駆け足で通り過ぎた。

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