スイーツ&デストロイ

旅行記と備忘録

クロアチア プリトヴィッツェ ボスニア・ヘルツェゴビナ ネウム

クロアチア内陸部の世界自然遺産プリトヴィッツェ湖群国立公園①右奥の滝が「ヴェリキ・トラップ」

クロアチア内陸部の世界自然遺産プリトヴィッツェ湖群国立公園

クロアチア内陸部の世界自然遺産プリトヴィッツェ湖群国立公園③「ヴェリコ湖」

クロアチア内陸部の世界自然遺産プリトヴィッツェ湖群国立公園④茶色い鱒の群れ

クロアチア内陸部の世界自然遺産プリトヴィッツェ湖群国立公園⑤「コジャック湖」

クロアチア内陸部の世界自然遺産プリトヴィッツェ湖群国立公園

クロアチア内陸部の世界自然遺産プリトヴィッツェ湖群国立公園⑦「ミルカ・トルニナ滝」

クロアチア内陸部の世界自然遺産プリトヴィッツェ湖群国立公園⑧「ミルカ・トルニナ滝」

クロアチア内陸部の世界自然遺産プリトヴィッツェ湖群国立公園⑨「ミルカ・トルニナ滝」

プリトヴィッツェ湖群国立公園内のレストランでたべた鱒料理

クロアチアを分断するボスニア・ヘルツェゴビナの街ネウム

プロチェ北部のビオコヴォ山脈にひろがる景勝地「バチナ湖群」

 クロアチアを分断するボスニア・ヘルツェゴビナの街ネウムを跨ぎ、南端のドゥブロブニクまで辿り着いたわたしたちは、それから内陸部を北上していよいよプリトヴィッツェへ向かう。海岸線を南下しながら海沿いの街を訪ね、ドゥブロブニクの旧市街や古都トロギール、スプリットのディオクレティアヌス宮殿シベニクの聖ヤコブ大聖堂など、数々の文化遺産を巡ったが、次はクロアチアで唯一の自然遺産だ。とにかくここへいってみたくて今回の旅先をえらんだので、車中では爆睡するのが常なのだけれど、この道中は昂揚してなかなか寝付けなかった。高原を目指すバスはやがて海岸線を離れ、デュナル・アルプスの山峡を源流とするカルスト河川、ネレトヴァ川に沿って広大な田園地帯をすすむ。このへんは「ネレトヴァ・デルタ」と呼ばれる大三角州だ。

 ネレトヴァ川はボスニア・ヘルツェゴビナの山地からいくつもの町や村をながれてアドリア海にそそぐ。河口付近はレモン、オレンジ、蜜柑などの柑橘類が植えられた果樹園で、長方形のそれを囲って規則ただしく水路が張り巡らされている。平坦な土地に緑の田畑がひろがるこんな景色を、クロアチアでははじめてみた。入国してからずっと、山の裾野に開けた沿岸部の港町ばかりを観光していたので新鮮だ。沿道のところどころには取れた果実を売る簡素な屋台がならぶ。デルタ地帯を抜けると、バスは高速道路に入り、初夏の針葉樹に覆われたカルスト台地の岩山をのぼっていく。中腹から山頂にかけては粉雪をまぶしたような石灰質の岩肌が目立ち、間近でみれば荒涼としているが、遠目にみると山裾の野性的な緑との対比が露になり、それはふしぎにうつくしい。

 旧ユーゴスラビアを縦断するデュナル山脈は、ダルマチアの細長い地形の中心を、背骨のようにつらぬいている。プリトヴィッツェ湖群国立公園も、スロベニアからマケドニアへ伸びるこの山々の、数あるカルスト地形のうちのひとつだ。バスは山あいの高速道路を南から北へ400kmもひた走り、いくつもの峠を越えてプリトヴィッツェの深い森へ辿り着く。6時間を超える長旅だったけれど、時おり現れる風車の畑やちいさな農村、見晴らしのいい草原や斜面の窪地に建つ家々など、車窓から眺める風景はたのしかった。山小屋風のホテルにチェックインする頃にはすっかり日も暮れていて、空を見上げると満天の星。一帯を包み込む鬱蒼とした森の闇からは、出くわしたらヤバい系の野生動物(オオカミやヒグマ)たちが、息を吐く不穏な音が聞こえる。ような気もする。

 森には実際、ヨーロッパ種のオオカミやヒグマが棲み、国立公園内でも運がよければ(?)対岸にその姿をみることができるという。そんな野生の王国では、他にオオヤマネコやイノシシ、シカ、キツネ、ウサギ、スカンク、イタチ、カワウソが暮らし、さらに321種の蝶、161種の鳥、21種のコウモリも生息しているらしい。ホテルのロビーにはそれら動物たちの剥製が置かれていた。夕食は併設のレストランでダルマチア地方の郷土料理「パスティツァーダ」(牛肉の赤ワイン煮)を。春は修学旅行の季節なのか、これまでも学生の集団とホテルで度々一緒になったが、ここでもまたかれらと顔をあわせる。まわりのテーブルは皆ミドルティーン、あるいはハイティーン(もしかしたらローティーンかもしれない。白人の子どもの年齢はよくわからない)の生徒だ。

 翌日はまず公園東の門へ赴き、つづら折りの道がつづくブナの林を抜け、翡翠色の湖を眺めながら、木の板を敷き詰めた湖畔の遊歩道を伝い、下流から上流へ向かう。まがりくねった林道と通じる、ゆるやかに湾曲したプロムナードはやがて、プリトヴィッツェ川とコラナ川の合流地点、ヴェリキ・スラップへつながる。落差78mのヴェリキ・スラップはプリトヴィッツェ最大の滝だ。滝壺へ至る道の途中には展望台が設けられていて、写真を眺めてはうっとりしていたあの神秘的な光景がそこで望める。澄んだ水をたたえる階段状の湖と、白茶けた崖を流れ落ちる幾筋もの絹糸。トラバーチンによってうまれた、天然のダムと無数の滝は、すばらしい快晴に恵まれ、その日ことさらうつくしかった。独特の地形が織りなす絶景と、それを彩る多様な青にただみとれる。

 ヴェリキ・スラップを過ぎたら連なるみっつの湖に沿い、落葉広葉樹の原生林に覆われた、渓谷の小径をあるいていく。湖水を横切る木製の散歩道を渡って森林をすすみ、しばらくすると視界が開けてロジャック湖の船着き場が現れた。そこから定期船に乗り、上流の入り口まで運んでもらい、また湖畔を散策する。川底で揺れる藻や水面に映る葉っぱの影、浮遊する水鳥や浅瀬におよぐ魚、苔むした岩やそれを撫でる小川、そしてそこに湧く泉。水際の景観はどこも風光明媚だ。なかでも気に入ったのは「ミルカ・トルニナ滝」(名前は滝を愛したオペラ歌手にちなむ)お伽噺の挿絵のような素朴で可憐な風景が、わたしの恥ずかしい少女趣味をくすぐる。

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トリコガイド クロアチア 1st EDITION

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クロアチア・スロヴェニア (タビトモ)

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るるぶクロアチア・スロヴェニア (るるぶ情報版海外)

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